2013年10月19日
時代とデザイン
「これからはデザインの時代や」アメリカ視察から帰国した松下幸之助が語ったそうだ。1951年は朝鮮戦争の軍需景気に沸いていた。戦後日本を担う企業家の目に映ったデザインの使い勝手に対する率直な言葉である。
デザインは格好良いものを作るといったイメージが強い。そのことを誤解だとは思わない。ただし、格好良いなと判定する価値観は時代と共に流動している。それを洞察し、且つ表現できなければ本当に良いとは思ってもらえない。世の中の真偽を見極める目は日に日にシビアになっている。たとえ古くても、小さくても、少なくても、遅くても、本当のことを発信するのが今は格好良い。ウソをつかない、見栄を張らない、等身大であることが“スマート”と言い表される時代。
松下幸之助らが牽引した経済成長の恩恵に埋もれながら、そしてまたそれを掻き分けながら、時代は本質的価値を求める局面に差し掛かっているのかもしれない。